「地域公共政策士」は、京都府内にある9つの大学が中心となり、産官学民が連携しながら地域公共人材大学連携事業として世界に広がる欧州資格枠組み(EQF)に準拠した教育研修プログラムを開発した京都発の地域資格制度です。学部レベルの「初級地域公共政策士」と、大学院レベルの「地域公共政策士」があり、第三者機関である一般財団法人地域公共人材開発機構が資格教育プログラムを社会的認証することで教育の質を保証しています。
この取り組みは、複数の大学による共同プログラム開発であること、企業や行政・NPOと連携した社会的認証である点が新しく、先進的な取り組みとして、平成24年度~平成28年度の間は「文部科学省大学間連携共同教育推進事業」の採択を受けて実施してきました。
資格教育プログラム提供大学は次の通りです。
龍谷大学政策学部、京都大学 地域連携教育研究推進ユニット、京都府立大学公共政策学部、福知山公立大学地域経営学部、京都産業大学法学部、京都橘大学現代ビジネス学部、京都文教大学総合社会学部、同志社大学政策学部、佛教大学社会学部
龍谷大学政策学研究科、京都府立大学公共政策学研究科、京都産業大学法学研究科、佛教大学社会学研究科
また、内閣府が提供している「地方創生カレッジ」のeラーニングシステムにも講座を提供しており、その講座を活用して「初級地域公共政策士」の資格を取得することもてきます。ができるよう、「地方創生カレッジ」にもビデオ講座を提供しています。
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政策実践・探究演習は、地域の課題解決に取り組むことを目的としたPBL(Project / Problem Based Learnig)科目のひとつで、「初級地域公共政策士」の教育プログラムに含まれています。現在、海外で3つ、国内で4つのプロジェクトがあり、グローバルな視点をもちながら地域が抱えるさまざまな課題を解決できる「地域公共人材」を育てることを目標に展開しています。地域公共人材に必要な力を知識・技能・能力・態度の4要素にわけて、この科目を通して学生がこれらを身につけることをめざしています。
<各プロジェクトの内容>
守山市・京丹後市など複数の自治体を主なフィールドとしています。対象地のコミュニティ政策に関する調査を行います。また、市民の話し合いの場にファシリテーターとして参加し、人々の話し合いの中から共感を広げ、協働の原理に基づいて社会課題の解決を進めるまちづくり仕掛け人(経世家)を目指します。話し合いのその先にある住民主体のまちづくりに挑戦しています。
再生可能エネルギーのグリーンと農漁村体験のグリーンの2つのグリーンをテーマに、地元の魅力発見と参加型地域再生を実現します。淡路島3市が特区として取り組む「環境未来島構想」と連動した内容として政策を考察する必要があります。里山保全の市民普請、ため池の保全管理普請、地元と学生と専門家を組み合わせて、協働型の地域再生事業の新たな方向性を探ります。
地元でのワークショップや発表会を開催し、ツアーの企画と実施などにも取り組みます。
2023年度からスタートした2年目のプロジェクトです。地域団体(ミライト中六)と連携し、地域資源を探索し、地域活性化に繋げる方法論を学ぶことができます。
地域の方とワークショップ形式のヒアリング調査とプロジェクト活動にかかる協議を実施します。プロジェクトの方向性は地域の方と協議しながら進めていきます。里山の自然資源について知り、永く続いてきた自然利用の歴史を紐解き、地域の多様な生物たちと人が再び共に暮らす懐かしい未来を作り上げていきます。
南丹市日吉町世木地域との連携を行い、地域のプライド(自信)を高めながら、地域ブランド(価値)向上に取り組んでいます。環境保全型農法で天日干ししたお米を「日良し米」と名付けての販売や地域の中学校との連携授業の実施など、地域との関係を深め、協働関係の基盤を作っています。また、地域オリジナルの環境保全型農法認証基準の作成や都市住民と農村をつなぐグリーンツーリズムの仕掛けとして地域資源とカレンダーを一体化したフェノロジーカレンダーづくりに取り組んでいます。
韓国と日本の若者政策について比較し、関連分野の基本的な知識と研究・調査方法を学びます。ソウル等で研究期間や若者関係の団体などを回ってヒアリング調査を行ったうえで韓国中央大学との交流プログラムを実施しています。
台湾 国立政治大学の学生とフィールドワークやワークショップをしながら地域づくりを実践的に学んでいます。政策学や社会学・環境学の専門知識をベースに国際的な視点から地球環境問題や地域社会の課題を発見・分析し、日台学生のチームワークによって課題解決に向けた考察・分析・提言を行っています。
フィンランドのラハティ市における「サステイナブル・デザイン」のコンセプトを学び、フィールドワークを行っています。LAB応用科学大学との連携により「持続的な住まい」「持続的交通(脱自動車)」等をテーマに学びを深めています。
グローカル戦略実践演習は、特にグローバルな視点の育成を主眼においた企業連携型PBL科目で、地域の経済団体、金融機関、支援団体、企業のご協力を得て運営されています。座学・フィールドワーク・発表会という構成になっており、受講生は生産拠点を海外に移転している企業、京都ブランドを海外に発信している企業、外国人観光客を京都に呼び込んでいる企業、外国人労働者を雇用している企業などを対象にグループで訪問調査をおこない、中小企業が海外展開するうえでの課題を明らかにし、その課題解決に向けた様々な障壁を乗り越えるための具体的な提案を作成し、発表会で報告します。発表会には、企業のほか、経済団体・金融機関・支援機関から受講生の提案に対するコメントをいただいています。本演習によって、グローカル人材に必要な資質を受講生それぞれが理解するとともに、海外展開している地域の中小企業や金融機関に就職し活躍する受講生を輩出しているなど、成果をあげています。
龍谷大学では、教学促進・充実を図ることを目的として、「龍谷IP事業」を実施しています。政策学部では、以下の2つのプログラムを応募し、採択されました。学内のプロジェクト資金を活用しながら、3カ年かけて事業を推進しています。
PBL科目「政策実践・探究演習ⅠA(海外)」において実施している南京大学金陵学院との連携、龍谷大学と地域との連携を軸に実施しています。日中両国がともに直面している身近な自然環境の破壊・汚染・埋め立ての被害現状に着眼し、里山、里地、里川など地域自然資源の社会的価値を再評価し、その利活用を通じた人間と自然環境の持続可能な共存・共生関係の構築を模索しています。南京大学金陵学院との連携及び龍谷大学と地域社会との連携を軸に実施しています。
また、龍谷大学政策学部と南京大学金陵学院化学与生命科学学院は学生交換協定を結んでおり、南京大学金陵学院の交換留学生が龍谷大学大学院政策学研究科へ入学するための入試制度も設けています。
CBLはアクティブラーニングのひとつで、「地域連携型教育=コミュニティベースドラーニング」(community based learning: CBL)と呼ばれています。地域協働総合センターでは、政策学部と協働しながらCBLの研究や教育プログラム開発を進めています。
アメリカのポートランド州立大学では、1970年代から大学改革の一環として、地域課題を解決するための研究、教育、実践的な事業に取り組んできました。現在ではCBLを全学部で導入し、約280のCBLプログラムがあります。海外や国内の事例を調査しながら、体系的にCBLをカリキュラムに取り入れ、大学の意義である研究・教育・社会貢献を広げていくために、海外調査、国内調査を進めています。
政策学部の授業や課外活動で取り組まれている教育プログラムを体系化し、連携先の新規開拓、担当教員の増員、サポート体制の整備をとおして、効率的かつ効果的な学びの成果を得られるシステムを構築しています。
地域課題発見演習は、政策学部生や他学部の学生も履修することができ、龍谷大学深草町家キャンパスでおこなわれています。深草町家キャンパスは、大学から徒歩10分以内にある町屋を改修・リノベーションしたスペースで、学生・教員と地域住民による協働活動の場として使われています。地域に開かれた大学として、地域社会と共に発展することを目的としています。実際に地域の活動や様々な団体と関わりながら、地域の現状把握、地域活性化のための企画立案、運営に必要な力を身につけていきます。毎年8月頃に開催される「伏見ふれあいプラザ」(区民祭り)の企画・運営をはじめとした、地域イベント等に関わりながら、伏見区の各学区の現状や課題を把握し、地域団体と連携しながら区民の交流の場や地域活性化方法などについて検討します。
Ryu-SEI GAPは政策学部における課外活動のひとつで、1年生から参加できます。政策学部生が自分たちでテーマを決めて、地域の課題を見つけ、解決に向けて活動を行う取り組みです。政策学部と有限責任事業組合まちしごと総合研究所が協定をむすび、京都市伏見いきいき市民活動センターを拠点に、センター職員や地域住民と交流しながら活動をすすめています。
各プロジェクトの活動内容は以下をご覧ください。
大学・学生とともにのばす京都プロジェクト共同事業は、大学、行政の連携により「大学・学生のまち京都」の魅力の充実・強化を図るため、学生、教員、研究者の知と力を活かし、京都府が大学や学生と協働して府政課題の解決に取り組むプロジェクトについて、京都府と大学との共同事業として実施しています。政策学部では、令和6年度に5つの事業を申請し、採択されました。この事業の支援を受けて、府政課題の解決に向けた活動を展開していきます。
本取り組みは、2016~19年の龍谷大学「学まち連携大学」促進事業を発展させ、京都文教大学との更なる連携を通して両大学の位置する「伏見」をフィールドにした地域連携型教育(community based learning: CBL)プログラムの展開をめざします。
龍谷大学と京都文教大学の2大学が協働しながら「地元学」「多世代・多文化交流」「高大連携」をキーワードに、オンラインを使った教育プログラムを正課や課外で新規開発し、これに両大学や京都すばる高等学校の学生が参加することをめざしています。
ビデオ教材の制作、ビデオ教材を配信するオンデマンド、オンラインによるライブ授業、従来のようなフィールドに出向く授業とオンラインを組み合わせたハイブリット型のCBLプログラムを開発・実施することが目的です。
地方創生カレッジは、内閣府の「地方創生人材プラン」に基づいて開講されているeラーニング講座です。龍谷大学は京都府下の9大学と連携し、「Kyoto Alliance」として13のeラーニング講座を提供しています。このeラーニング講座を「地域公共政策士資格制度」と結び付け、eラーニングの受講と短期間のスクーリングで「初級地域公共政策士」資格が取得できるようにし、遠隔に居住している人も資格がとりやすい仕組みづくりを進めています。
南海トラフ巨大地震による甚大な被害が想定されている徳島県阿南市においてはハード的な防災対策だけでなく、一人ひとりの命を守るための防災教育の取り組みが不可欠です。このような観点から、南海トラフ巨大地震への備えにつながるオーダーメイド型の防災教育教材や学習プログラムを開発し、徳島県阿南市の小学校2校で龍谷大学生による防災教育授業の実践を行いました。対象校の実態やニーズから研究・開発し、阿南市の学校で広く普及・定着するような教材を用いた授業の実践を目指しました。単発での防災教育授業の実施に留まらず、実践した授業内容に対する効果や課題及び今後の水平展開の可能性について学校教員と意見交換の場を設けました。
また、徳島県阿南市教育委員会の安全・防災教育部会にて「クロスロード」を題材とした学校教員対象の防災教育研修会を開きました。ハザード別のクロスロードの問題や授業の実践事例について紹介するとともに、クロスロードを題材とした防災教育授業の水平展開や発展可能性等について意見交換を行いました。