「話し合い」創造プロジェクトでは、滋賀県守山市や京都府京丹後市などと連携し、地域住民がまちづくりについて話し合う場に、学生がファシリテーターとして関わります。参加者の意見をまとめて議論が円滑に進むようにサポートする「ファシリテーション」と、ホワイトボードや模造紙に発言を記録して論点を可視化する「ファシリテーション・グラフィック」。これらのスキルを話し合いの場で実践し、より良いまちづくりをめざします。
松山 遼平さん
3年生(京都府立福知山高等学校 出身)
昨年までは新型コロナウイルス感染症の影響もあり、現地での活動は難しかったものの、2022年は、研修を経て話し合いの場に参加することができました。実際に自分たちがファシリテーターとなって話し合いをサポートするなかで、ファシリテーションとグラフィックを両立させながら議論をすすめていく難しさや、みなさんの話のペースに遅れずに要点を整理していく大変さなど、座学だけではわからない多くの気づきを得られました。そのような課題をみんなで共有し、学び合える点も、「話し合い」創造プロジェクトの良いところです。次の話し合いの場がすぐにセッティングされるため、学生は短期間で練習・本番・反省を繰り返すことができ、より速く効率的にファシリテーションの技術を向上させられます。このプロジェクトをとおして私は、それぞれの自治体が地域課題に対して真摯に向き合い、問題の解決に向けて努力されていることを改めて知りました。このような機会を活用し、複数の自治体をフィールドにいろいろな人の意見を聞くなかで、地域の多様性への理解がいっそう深まりました。
まちづくりは一部の住民だけですすめられている場合が多く、参加者の負担が大きくなりがちです。地域を活性化させるには、一人ひとりが当事者意識をもって協力しなければなりません。そのために必要なことは、誰もが気軽に参加して交流し、意見を交わせる場です。「話し合い」創造プロジェクトは、そんな話し合いの場をお手伝いしています。このような取り組みは、まちづくりへの関心の低さという社会課題の解決にもつながるはずです。
「話し合い」創造プロジェクトの学びの特徴は、活動内容をその都度振り返り、自分の成長につなげられることです。これを「リフレクション」といいます。講義や研修で学んだファシリテーションの技術を実際の話し合いの場でどのように実践できたか、あるいは実践できなかったかを確認し、そこで見出した改善策を次の機会に役立てる。これを繰り返すことで、学びをしっかりと血肉化できます。このリフレクションのおかげで、私は、ゼミをはじめさまざまな場で話し合いの舵取りができるようになりました。周りの人から「進行が上手だね」「話しやすい会議だった」といわれることが増え、自分が成長できていると実感しています。
「政策実践・探究演習」は、さまざまな地域の問題解決にチームで取り組むPBL(Problem/Project Based Learning)科目です。話し合いによるまちづくりや、農産物のブランディングをとおした農村づくり、地域資源の再発見・評価を通じて地域社会の活路を見出す取り組みなど、複数のプロジェクトがあり、学部生と大学院生が共に参加し学び合います。学生が自分たちで地域課題を分析し、地域住民の方々や、行政、専門家と協力しながら活動することを通じて、論理的思考力や表現力、マネジメント能力などを身につけることができます。
(科目の詳細は本学Webサイトから「Webシラバス」をご確認ください)
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企業が担う社会的責任を意味する「CSR(Corporate Social Responsibility)」。
日本の企業は、どのようなCSR活動を実践しているのでしょうか。
学生たちが実際に企業へ足を運び、新たなCSRの可能性を探ります。
樋口 凌さん
3年生(京都府 龍谷大学付属平安高等学校 出身)
高度経済成長を迎えて以来、企業は革命的な商品を生み出してきました。しかし、その代償として汚染物質を排出し、自然や人に悪影響を与えたのも事実です。そういった経緯から、企業は自社でできる社会貢献、CSR活動を開始しました。CSRに関する歴史や意義を深く理解し、企業の方からCSRの実態を聞いたうえで企業を訪問し新たなCSRの可能性について提案を行うのがCSR実践演習です。普通に大学生活を送っているだけでは、企業の方と関わる機会は滅多にありません。しかし、この演習では企業の方々と密に関わりリアルな声を知れるので、企業の実態を把握できます。徐々にヒアリング力や課題発見力が鍛えられCSR活動以外にも企業が抱える社会課題が見えてきました。
企業は利益を求めますが、CSR活動から利益は生まれません。CSR活動を過剰に行うと逆に会社の負担となり、社内からの批判が生まれるなどの課題が挙げられます。また、企業がCSR活動に踏み出せない背景には、資金不足や人材不足などの課題が潜んでいる可能性もあるでしょう。こういった企業の課題を発見できたのは、さまざまな先行事例に触れ、社会問題に関する学びを深めてきた経験があってこそ。学びを活かした提案力や思考力が養われたのだと思います。また、企業訪問を経て、学んできた社会問題と実際にその企業が抱える課題が同じなのか、違った場合はどのようにその課題に取り組んでいくのかを考える良い機会にもなりました。
今回の経験をきっかけに、日々の社会動向をチェックするようになり、先行事例から成功例を分析したり、自分の意見を構成したりする前向きな姿勢も身につきました。分析力や思考力、プレゼン力も鍛えられたと思います。これらのスキルを自分のキャリア形成に役立て、社会でも活かしていきたいです。
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社会課題は対策や施策だけでは解決できません。自らが主体的に行動し、会話し、人間関係を広げていくことが解決につながります。解決へつなげる力を身につけられるのがこの授業です。自己分析や模擬裁判、ビブリオバトルなど学生参加型プログラムでコミュニケーション力を磨き、地域コミュニティで実践する能力を身につけていきます。知識の修得から実践、振り返りまで一連の流れを経験するなかで、対話以外にも他者に影響を及ぼすコミュニケーションの形があると知り、社会におけるコミュニケーションの重要性をより深く理解できました。ここで培ったコミュニケーション力に課題解決型思考をプラスして、社会課題の根本を見極めていきたいです。
中江 奈々美さん
3年生(京都府立北嵯峨高等学校 出身)
政策学部のアクティブ・ラーニング科目を履修し進路決定に役立てた上回生の報告や、学年を越えた受講生同士のディスカッションを通して、キャリア形成のうえで必要な知やスキルについての理解を深めます。加えて、地域の課題を見抜き、解決に向けた政策ができる人物像について考え、自身のキャリアデザインにつなげることをめざします。
(科目の詳細は本学Webサイトから「Webシラバス」をご確認ください)
みらい部は、「子どもたちがのびのびとできる環境づくり」をめざして活動しています。したいことができない、家に帰りたくない、やる気が起きないなどの生きづらさを抱える子どもたちが自由に好きなことをし、自信をもてるようサポートを行っています。当事者や保護者、支援者の方々と関わるなかでわかったのは、子どもの生きづらさの背景に貧困や教育の問題があるということです。それらの社会課題を肌で感じながら学べました。また、テーマ設定からイベント企画まですべて自分たちで決めて行動するうちに、チームワークに必要な思いやりや主体性が培われたと感じています。スケジュール調整、広報、アポイントメント、協力先とのミーティング、助成金の申請といった実践的なスキルも身につきました。
鍋島 湧汰さん
3年生(大阪府 箕面自由学園高等学校 出身)
Ryu-SEI GAP(Glocal Action Program)は、地域社会の課題解決に取り組む正課外の実践型プログラム。「京都市伏見いきいき市民活動センター」を拠点に、地域の課題意識を共有した学生が、LGBTQや地域の活性化、高齢者の居場所づくりなど、幅広い課題ごとにプロジェクトチームに分かれて大学周辺地域で活動に取り組みます。
(科目の詳細は本学Webサイトから「Webシラバス」をご確認ください)
嶌村 桃花さん
3年生(尼崎市立尼崎高等学校 出身)
奧野ゼミでは「憲法」を主題とし、グループワークを通じて、自分の意見を確立していきます。知識がまったくない私でも関心が高まるほど、授業の内容は興味深く、堅苦しいと思われがちな憲法も楽しく学べます。特に印象深いのはゼミ討論会です。最初は気持ちがバラバラで足並みが揃わなかった私たちのグループも、準備の過程で少しずつ足並みが揃い、団結力が高まっていくのを実感しました。研究テーマへの理解も進み、卒業論文では基本的人権の一つである環境権について掘り下げたいと考えています。
永井 悠斗さん
3年生(奈良県 奈良育英高等学校 出身)
環境問題の深刻化にともなって環境への関心が生まれ、環境経済学を専攻しました。ゼミ活動はグループワークが中心で、各グループで定めた環境問題のテーマについて情報を収集し、そのまとめを学修成果として発表します。一つの目標に向け仲間と協力するなかで協働力が養われ、ゼミ長を任されて視野も大きく広がりました。卒業論文は「人間と自然の関係」がテーマです。人はこれまでどのように自然と付き合ってきたのか、それを現代の環境問題の解決にどうつなげていくのか。ゼミでの学びと経験を糧として、多角的な視点から考察したいと思います。