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Training Program for
Social Innovation Designer

大学連携型ソーシャル・イノベーション人材養成プログラム

挨拶

本取り組みを推進できることをとても喜ばしく受け止めております。これまでの大学教育は、研究者が教育者となって学生に教えることがスタンダードであり、社会に対して開かれている、社会と繋がっている意識は薄かったと感じています。大学の中で育まれている叡智を社会に還元すべく、これからの大学は「課題解決型の社会を構築する」ということを強く意識した教育に変わらなければなりません。

今回の取り組みはまさに社会の課題を解決する人材を育成するチャレンジングなものです。ただ深刻な社会課題は一つのアプローチで解決できるものではありません。多角的な視点を導入して課題に向き合う必要があります。同じ志をもった他大学と連携するのはそのためです。

本学では、創立380周年の2019年に、ソーシャルビジネスを打ち出したムハマド・ユヌス博士をお招きしてご講演いただき、ユヌスソーシャルビジネスリサーチセンターを設置いたしました。今日に至るまで、意欲あふれる若者の志を活かした事業に対する支援に注力してまいりました。

私たちは、リカレント、リスキリングといった社会のニーズに応えるべく「ソーシャル・イノベーション」の具体的な実現に向けて、さらなる一歩を踏み出しました。これからの展開に大きな期待を寄せています。

龍谷大学・短期大学部学長
安 藤  徹

より速く、より多く、より低コストで・・・私たちは経済合理性を追求することで、人間にとって快適な生活を実現してきました。その結果、科学技術は大きな進歩を遂げました。一方で、地球温暖化をはじめとする環境問題、貧困、経済格差などの地球規模の問題が浮上しており、同時に少子高齢化、過疎、非正規雇用、若者の引きこもりなどの地域の問題も深刻化しています。これらの多様な社会問題は、単に科学技術だけでは解決できないことを示唆し、私たちの未来に警鐘を鳴らしています。さらに、国や地方の財政も悪化し、財政出動による問題の解決も期待できません。

このため、複雑化する社会問題から潜在的な解決策を見つけ出し、新たな価値を創造しながら解決に取り組むために、イノベーティブな発想と同時に、経済合理性だけでなく、社会合理性も積極的に追求できるソーシャル・イノベーション人材が求められています。

今こそ、私たち人文・社会科学系の大学院が蓄積してきた知識や知恵が重要です。龍谷大学、京都文教大学、琉球大学の各大学院が連携し、人文・社会科学系の幅広い研究領域をカバーできる叡智のコングロマリットを構築し、スケールメリットを活かして教育プログラムを提供し、社会が求めるソーシャル・イノベーション人材を養成していきます。

龍谷大学大学院政策学研究科
研究科長 中森 孝文

琉球大学大学院地域共創研究科においては、固有の歴史・文化や自然環境をもつ沖縄というフィールドを活かしつつ、変化のスピードが加速するグローバル社会の影響下において、自律的かつ持続的な地域社会を関係者と共創するために必要な専門性を身につけるための学びの場を提供しています。

今回、新たに京都というフィールド、そして、「ソーシャル・イノベーション」に軸足をおいた新たな⼈材養成プログラムが加わることの大きな教育研究上の意義は、「多」と「他」を含めた多様な視点を得る機会が確実に拡がることだと考えています。地域の共創およびイノベーションの実現には、対象となる課題の抽出やその原因の解明、そして、埋もれている「資源」の発見とその活用を含めた価値の創造が求められ、そのいずれにおいても多様な視点が不可欠だからです。

参加する三大学院がそれぞれ有する固有の歴史・文化・教育研究上の強みも合わさって展開される「新たな価値創造」がとても楽しみです。

琉球大学大学院地域共創研究科
研究科長 本村 真

グローバル化したこの現代社会、地球上の隅々まで、すでに一定の価値が行き渡り、共有されたかのような社会に私たちは生きています。裏を返せば、この世界は、どうあがいても、すでにきまった尺度によって互いの価値が測られ、比較される、きわめて閉塞した世界なのです。この時代の空気感を突破していくには、従来の社会的価値を跳び越える新たな価値の創造が求められます。

私たち京都文教大学臨床心理学研究科は、現代人の心の問題と取り組むなか、既成の価値観にとらわれず、それぞれの人が持つ独自の価値を見出すことをその課題の一つとしてきました。そして、この取り組みはそのまま、この社会を真に創造的に生きるために現代人に求められる力を育てることにかかわります。

新たな社会的価値を生み出す力を育てるこのソーシャル・イノベーション人材養成プログラムに私たちの経験を大いに生かしていきたいと考えています。

京都文教大学大学院臨床心理学研究科
研究科長 濱野 清志