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大学連携型ソーシャル・イノベーション人材養成プログラム

社会人として大学院で学ぶ意義と楽しさとは?
政策学研究科在学生4名による座談会【後編】

[ 2024.9.9 更新 ]

-政策学研究科で学んだことで仕事にどのような変化がありましたか?

近藤さん:議員になって1年間は自分なりに調べて業務に取り組んでいたのですが、大学院でデータ分析や調査を学んだことで、議会での一般質問が理論的になり、説得力が増したような気がします。

日下さん:右目と左目ぐらいの違いかもしれませんけども、役所の人間としてだけでなく、研究者的なポジションから少し角度を変えて物事をみられるようになりました。そのおかげで選択の幅が広がり、気持ちにも余裕が生まれましたね。

渡邊さん:私は大学院進学のタイミングで営業の仕事に変わり、お客様とお話しする機会が増えたんですが、大学院に行っているというだけで会話が弾んだり、研究者の立場でお客様が取り組んでおられる事業の中の課題と自分の研究する学問を紐づけて考えたり。研究者として仕事ができているのがうれしいですね。

松尾さん:授業で先生方から教わった知識や得た経験が、仕事にも活きているってすごく感じますよね。自分の携わっている業務分野について、いろんな視点から知見を得ることもできるので、とてもいい経験になっています。

日下さん:仕事だけでなく、いろんな場面で学んだことが役に立ちますよね。例えば「貯金ってあるでしょう。利息がつくでしょう。それが世の中を悪くしている。貯金がずっと目減りしていくと困るけれど、それで世の中が良くなるんです」。って、こういうちんぷんかんぷんな話を先生が丁寧に説明してくれるんですが、こういうのをお酒の場で言うとちょっとかっこいい(笑)。

松尾さん:政策学って結構、哲学的なんですよ。

社会人として大学院で学ぶ意義と楽しさとは?政策学研究科在学生4名による座談会

-仕事だけでなく、気持ちの面で変化を感じることは?

近藤さん:私は子育て中も今も地域の方々にとても助けていただいたので、議員として恩返しする仕組みを作っていかないといけないなって、改めて自分の中でも使命みたいなものを感じました。

松尾さん:特に変化はないのですが、実際に大学院へ来てみると、自分が思っている以上に、学生さんの公共政策に対する理解や関心が高いことに驚きます。今後も公共政策を生業として活躍してくれる方がたくさん出てきて欲しいですし、私も負けてられないな、という気持ちになります。

渡邊さん:ちょっと話は変わるんですが、先日、久しぶりに実家に帰ったら、恥ずかしいんですけれど親に「なんかかわいい、キラキラしてる」って言ってもらったんですよ。

近藤さん:やる気みたいなのがにじみ出ていたんですね。

渡邊さん:それがそのとき、課題に追われ、仕事も営業に変わったばかりで、心が折れかけていた時だったんです。でもその言葉がすごく励みになって、気持ちを切り替えることができました。まつげパーマしなくても、目の下のクマがすごくても、かわいいって励ましてくれてありがとう、みたいな(笑)こういうのもここで学ばなければ味わえなかった感覚だと思います。

日下さん:気持ちの面で言えば、今学んでいる人だけでなく、かつて学んだ人、そして先生、この人たち全員が間違いなく世の中が良くなればいいと思っている。やり方はいろいろですけれど、ベクトルが一緒なんですよね。シンプルに「世の中が良くなったらいい」というベクトルで、たくさんの人間が積み重なっている中に身を置いている。この経験って、今後、すごく役に立つと感じていますね。

-大学院での学びをこれからどのように生かしたいですか?

日下さん:自分が60歳になって役職がなくなっても、市民のために、また周りの職員の方々にとって役立つ存在であるようになりたいです。まち(京田辺市)に市民が集まる場所みたいなものがあるんですけど、そこを管理したり、新しく作ったりという、プロジェクトを任される人間になりたいですね。60歳になって役職がなくなる分、自由度が上がるわけですから、ここで身につけた能力を生かして、いろんなことにチャレンジしたい。60歳からが長いですから。

近藤さん:人生100年時代ですからね。

松尾さん:私は自分自身の仕事に活かすだけでなく、学んだことを社会にフィードバックするというか、次の世代に伝えていきたい。今後、公共分野の仕事に携わる人がもっと増えたらいいなと思っています。

日下さん:「世の中が良くなったらいい」というベクトルの人を、さらに増やしていくということですよね。

近藤さん:私は市議会議員として実践できることもたくさんあるのですが、まずは子育て世代の一番の味方でいられるように。ここで身につけた多角的な視点と課題解決に導ける力を活かして、より住みやすい街をつくりたいなと思います。国が強くなれば、地域が強くなるって言うんですけど、私は地域が強くならないと国は強くならないと考えているので、地域で手を取り合ってやっていきたいですね。

渡邊さん:京都信用金庫は民間企業ですが、地域の活性化に対して熱い思いを持っている会社なんです。せっかく地域公共政策士の資格を取るので、それを引っさげて京都信用金庫の中で街づくりの機運というか、地域貢献をやっていきましょうよっていう声掛けを、私が先頭なってやれると超かっこいいなと思っています。

-来年度政策学研究科に開講する「ソーシャルイノベーション人材養成プログラム」についてどう思われますか

松尾さん:官と民の境界線が曖昧になり、協働しながら物事を進めることが当たり前の時代になっていて、そんな時代にフィットする取組だと思います。官・民関係なく、社会課題解決を担える人たちが主体的に活動を展開する。そのような時代に突入していると感じます。

日下さん:その通り。一定方向の専門的な知見があって、その分野のことをちゃんとやれる人であったら官でも民でも安心して任せられる。

近藤さん:市としては民間提携を推奨しているんですが、親としての立場だと不安があるんですよね。例えば、待機児童問題を解決するために民間が児童クラブを設立しましたとなったとき、ビジネスとして運営する施設で、公立と同じようなレベルが保てるの?みたいな。

渡邊さん:わかります。

近藤さん:社会課題の捉え方みたいなところを、民間の方がしっかりと勉強され、知見のある人材が揃ってくると、そういう不安も払拭されますし、さらにより良い街づくりができるんじゃないかな、と思うので、ソーシャルイノベーション人材養成講座には期待しています。

社会人として大学院で学ぶ意義と楽しさとは?政策学研究科在学生4名による座談会

-最後に、「ソーシャルイノベーション人材養成プログラム」ならびに政策学研究科への進学を考えている社会人の方にメッセージをお願いします

渡邊さん:良くない表現かもしれないんですが、同期に対してちょっと優越感を抱いています。「みんなは土日におしゃれなカフェに行って、旅行に行っているかもしれないけど、私はその時間を1年間ちょっと削っただけで、今こんなに燃えられているんだよ」って(笑)

近藤さん:仲間とか、学びとか、生きていく中の新たな財産に巡り会え、達成感に満ちあふれる日々を送れるっていうのはすごいなって私も感じています。

日下さん:研究科に来ると判断をしたことは正解だったなと私も心から思いますね。何かをすると本来は後悔したり、逡巡したりすることがあるんですけど、自分が信じた道が正解だったと思いながら常に前に進んでいける、そんな気分でずっと過ごせることって意外にないですよ。

松尾さん:今楽しいだけでなく、きっと自分の先の人生にも活きてくるだろうなっていう気がしますよね。

近藤さん:課題にしろ、報告会にしろ、努力してつくった自分の発表を聞いていただいて、またご指導いただけて、日々、成長も感じられます。

松尾さん:本当にそう思います。政策学部は懐が広いというか、すごく自由な分野なんで、あんまり一つの凝り固まった考え方にならずに多様なものの見方ができる。また、幅広い知見を持った多彩な先生方や経験やスキルが異なる学生とフラットに議論できる。ものすごく居心地がいいですし、とても楽しいです。

日下さん:ちょっとしんどいなと思うことあっても仲間が支えてくれるし、先生も支えてくれますし。

近藤さん:こんな経験ってなかなかないので、チャンスがあるならば、本当に自分から握りしめに行ってもらいたいです。

渡邊さん:1年間頑張るだけで、ものすごく大きいものが得られる場です。私なんて、人生変わるんじゃないかな、ぐらいに考えていますよ。

日下さん:地域公共政策士をめざすにせよ、ソーシャルイノベーション人材をめざすにせよ、世の中を良くしたいという志を持っている人の輪を広げていきましょう。

社会人として大学院で学ぶ意義と楽しさとは?政策学研究科在学生4名による座談会

日下 英明 さん

日下 英明 さん

民間企業を経て、京田辺市役所に転職。市民参加に関わる仕事に長年携わる。政策学研究科の修士論文のテーマは「サードプレイス」

近藤 瑛理奈 さん

近藤 瑛理奈 さん

高校卒業後、就職、結婚。子育て中に感じた社会課題を解決すべく大津市議会に立候補し当選。政策学研究科の修士論文のテーマは「子育て世代の政策」

渡邊 菜摘 さん

渡邊 菜摘 さん

龍谷大学政策学部卒業後、京都信用金庫に就職。事務職を経て、現在は営業職を担当。政策学研究科の修士論文のテーマは「街づくりの市民参加」

松尾 裕樹 さん

松尾 裕樹 さん

民間企業から京都市役所に転職し、市民協働や官民連携などの仕事に従事。現在は東山区役所勤務。政策学研究科の修士論文のテーマは「廃校施設の民間活用が地域コミュニティに及ぼす影響と効果について」