-仕事をしながら政策学研究科で学ぼうと思ったきっかけを教えてください。
日下さん:これまで仕事で携わってきた市民参加の事業を机の上で学んでみようと思ったのがきっかけでした。もう一度、きちんと学び、資格を得ることで役職定年となる60歳を過ぎても人々の役に立つ仕事に就き続けられるのではと考えました。
松尾さん:学び直しが大きな目的ですが、自分の仕事の結果が社会的にどのような影響を与えているのを学術的に学んでみたいなと思いました。
近藤さん:私は子育て中に直面した不安や不満を解決したいと大津市議会に立候補し、今は議員として活動しているんですが、いざ議員なって何かしようとしても、自分の主観でしか物事をとらえられていないような気がして。いろんな視点から政策を考えて提案できるような自分になりたいと思ったのがきっかけです。
渡邊さん:私は政策学部の卒業生なんですが、学部のときの経験では、実際社会では通用しないことも多くて。学部生のときに、大学院に行こうか、就職しようかちょっと迷ったというのもあり、改めて母校の大学院で学ぶことにしたんです。会社に大学院で学ぶことを応援してくれる制度もありましたし。
近藤さん:私は大津市議会が龍谷大学との地域連携協定締結団体であることから、協定先推薦入学試験制度を利用して入学し、社会人院生として勉強させていただいています。
日下さん:私が勤める京田辺市もそうですが、京都市も龍谷大学との地域連携協定締結団体ですよね。
松尾さん:そうです。そのうえ私は龍谷大学社会学部の卒業生でもありましたし、仕事柄、政策学部の先生方は古くからのお知り合いも多かったので、ぜひ!と思い入学しました。
-大学院の学びは、高校時代などの学びとは違いますか?
日下さん:一方的に学びを受けるのではない、アクティブラーニングというのが特徴ですよね。しかも、皆さん自らすすんで学んでいます。
松尾さん:教えられて吸収する授業とは違って、講義内容を踏まえて、自分の考え方をまとめて積極的に発言することが求められます。いい意味で緊張感のある授業内容なので、ぼーっと聞いていられない。頭が毎回、活性化している感じです。
渡邊さん:私は、自分の中にある考えをまとめて発言したり質問したりするのが苦手なので、なかなか大変です。
近藤さん:でもわからないことに対して否定する人もいないですし、何か思われることもいないですからね。私は、これまで政策学を学んだことかなかったので、なかなか理解できないことも多いのですが、だからといって、ものすごく居づらい空間ではないっていうのがすごく不思議です。
日下さん:わかっている人も、わからない人も、先生も含め、いろんな話し合いや意見交換、議論する中で学んでいく。そこが龍谷大学大学院の学びの一番の魅力ではないでしょうか。
-仕事をしながら大学院に通うとなると時間の問題などが出てくると思うのですが、皆さんはどのようにお仕事と学びを両立しておられますか? 秘訣みたいなものはありますか?
松尾さん:私は一番頭が回転する朝の時間を有効活用しています。通勤時間を利用して、思い浮かんだ文章やアイデアをスマホのメモ機能に打ち込んだりしています。レポート課題は、ほとんどその作業で済ませているような気がします。わざわざ時間を作っているというよりは、時間の使い方が変わったという言い方の方が近いかも。今までなら仕事終わりにお酒を飲んでいた時間を少しだけ勉強の時間に充てたりしています。
近藤さん:私も生活のリズムがちょっと変わっただけという感覚です。趣味とかで押さえていた時間を勉強の時間に充てているぐらい。昔は勉強が嫌いだったんですけど、今はやらされているのではなく本当に興味があることを調べているので、全然苦にはなりませんね。以前、担当教授から「わくわくするようなこと、自分の中で本当に何か面白いなって思うようなことを研究しないと続かない」って言われたんですが、そういう観点から考えると、大学院での学びは趣味に近いのかもしれません。
日下さん:私はゴールデンウィークぐらいまではちょっと大変でした。授業に全力で臨み、限られた時間の中で学びを得るのは、気持ち的に楽しいのですが、体力の方が削られてしまって。でもなんとか乗り越えられました。
渡邊さん:仕事と学びの両立という話でいえば、私の場合、仕事と学びを融合させたことがあります。
近藤さん:例えば?
渡邊さん:企業の本業支援につなぐため仕事でおこなったインタビューで聞き取った内容を、学校の課題にどうやって活かしたらいいのか、上司をはじめ店舗中を巻き込んで一緒に考えてもらいました。
日下さん:社会人院生の特権ですよね。でも本当に、まわりの人の応援はありがたいですよね。
松尾さん:社会人になってから自主的に大学院に通って勉強するということ自体、周囲から評価されていると感じます。職場も通学していることを理解していてくれて、調査研究の関係で休暇をいただく際も「いってらっしゃい」って感じで快く了解してくださいます。
近藤さん:私も土日はイベントなどが多いんですが、自治会長さんにこの1年は勉強があるので参加できないかもしれません、とちゃんと説明したら、理解していただけました。社会人をしながら大学院で学びたいけれど、まわりの理解がなかったらどうしようとか悩んでいる人がいれば、そこは大丈夫、と背中を押してあげたいです。
日下さん:社会人院生って素直に尊敬されると思うんですよね。自分のまわりの人が大学院に行っていると聞いたら素直に尊敬しますから。楽しいことをやって、尊敬してもらえて、こんなにいいことはないですよ。
-地域公共政策士の総仕上げのプログラムである「キャップストーン科目」はいかがですか?
日下さん:キャップストーン科目では、今まで学んだ様々な知識や分析力を駆使し、「コンサルタント」という立場から、与えられた課題の解決に取り組むことになります。まだ授業は始まったばかりなのですが、今後はグループでの調査などをおこなっていく予定です。
松尾さん:キャップストーン科目では中小企業家同友会の皆さんとご一緒していますが、大学以外の地域の方と一緒に勉強するのはすごく刺激があります。皆さん、お仕事で忙しいにも関わらず、自分たちの地域を良くしようという高い熱量で取り組んでいらっしゃる。本当に頭が下がる思いがします。
渡邊さん:私は自分の思考力が、キャップストーン科目にまだまだ追いついてないので、大変です。
近藤さん:私もなかなか理解できないんですけど、それを公言しても許される雰囲気なのでありがたいです。
渡邊さん:少しずつ階段を上がれている感覚はあるので、前向きに取り組んでいきます。
近藤さん:行き詰まったときは、皆さんが助けてくれますよ。
-皆さん、学ぶことの楽しさを感じておられるのですね。久しぶりの学生経験と思いますが、学び以外の大学院生ライフはいかがですか?
日下さん:キャンパスに来るということだけで、まず心が躍ります。味云々でなく、学食で食べることだけでおいしく感じる。時々先生にこっぴどくやり込められるんですけれど、この歳になるとそれも新鮮ですし。
渡邊さん:私は卒業してからまだ2年しか経っていない分、最初はキャンパスに来るのが苦しくて。来ると、友達とあそこで喋ったなとか、お昼ご飯食べていたなとか、学生のときの楽しい思い出がよみがえってきて。
松尾さん:私は渡邊さんと逆で、卒業してずいぶん経っていますから、楽しい思い出などはほとんど記憶から消えているんですが(笑)、お仕事でご一緒した先生方と久しぶりにお会いできたのが嬉しかったです。ただ、平日などは若い学生さんばかりなので「圧倒的なアウェー感」を感じます。図書館に行ったら先生と間違えられたりしますし(笑)
近藤さん:松尾さんは先生オーラがあるんですよ(笑)。確かに年齢も違うし、誰ひとり知り合いはいなかったですが、同じことを学んいでるからあっという間に仲良くなれるっていう。第二の青春をやっていますね。
渡邊さん:私も今は、皆さんと気軽にお話できるようなって、見違えるほど楽しくなりました。
日下さん:こちらも最初の頃は若者ばかりの中にこんな年齢の者が、と思って緊張しました。でも同じ学生ですからね。そこはフラットでいいのかな、と。
渡邊さん:院生同士だけでなく、先生とも対等というのが一番の魅力ですよね。多様な方との関わりが毎日の刺激になっています。
松尾さん:学部から進学した若い学生さんもすごく親しく喋ってくれます。以前私が携わっていた仕事について研究している人もいらっしゃるので、実務経験に基づくエピソードなどをできるだけシェアするようにしています。たまに「現実はもっとこうなのになぁ」と感じることもありますが、学生さんは学生さんならではの視点で物事を捉えている。それを間近に感じられるので、新鮮だったり面白かったりします。改めて教えてもらうこともすごく多いですね。
近藤さん:学部からの人は、今までしっかり政策について学んできているのですごく頼りになります。私の隣に座ってきた人には「教えてー」って言って聞きまくっているので大変かもしれないですが(笑)
日下さん:繰り返しますが、私はスタバでフラペチーノ買って、学食でご飯を食べて、それだけでもう本当に楽しいです!
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-仕事をしながら政策学研究科で学ぼうと思ったきっかけを教えてください。
日下さん:これまで仕事で携わってきた市民参加の事業を机の上で学んでみようと思ったのがきっかけでした。もう一度、きちんと学び、資格を得ることで役職定年となる60歳を過ぎても人々の役に立つ仕事に就き続けられるのではと考えました。
松尾さん:学び直しが大きな目的ですが、自分の仕事の結果が社会的にどのような影響を与えているのを学術的に学んでみたいなと思いました。
近藤さん:私は子育て中に直面した不安や不満を解決したいと大津市議会に立候補し、今は議員として活動しているんですが、いざ議員なって何かしようとしても、自分の主観でしか物事をとらえられていないような気がして。いろんな視点から政策を考えて提案できるような自分になりたいと思ったのがきっかけです。
渡邊さん:私は政策学部の卒業生なんですが、学部のときの経験では、実際社会では通用しないことも多くて。学部生のときに、大学院に行こうか、就職しようかちょっと迷ったというのもあり、改めて母校の大学院で学ぶことにしたんです。会社に大学院で学ぶことを応援してくれる制度もありましたし。
近藤さん:私は大津市議会が龍谷大学との地域連携協定締結団体であることから、協定先推薦入学試験制度を利用して入学し、社会人院生として勉強させていただいています。
日下さん:私が勤める京田辺市もそうですが、京都市も龍谷大学との地域連携協定締結団体ですよね。
松尾さん:そうです。そのうえ私は龍谷大学社会学部の卒業生でもありましたし、仕事柄、政策学部の先生方は古くからのお知り合いも多かったので、ぜひ!と思い入学しました。
-大学院の学びは、高校時代などの学びとは違いますか?
日下さん:一方的に学びを受けるのではない、アクティブラーニングというのが特徴ですよね。しかも、皆さん自らすすんで学んでいます。
松尾さん:教えられて吸収する授業とは違って、講義内容を踏まえて、自分の考え方をまとめて積極的に発言することが求められます。いい意味で緊張感のある授業内容なので、ぼーっと聞いていられない。頭が毎回、活性化している感じです。
渡邊さん:私は、自分の中にある考えをまとめて発言したり質問したりするのが苦手なので、なかなか大変です。
近藤さん:でもわからないことに対して否定する人もいないですし、何か思われることもいないですからね。私は、これまで政策学を学んだことかなかったので、なかなか理解できないことも多いのですが、だからといって、ものすごく居づらい空間ではないっていうのがすごく不思議です。
日下さん:わかっている人も、わからない人も、先生も含め、いろんな話し合いや意見交換、議論する中で学んでいく。そこが龍谷大学大学院の学びの一番の魅力ではないでしょうか。
-仕事をしながら大学院に通うとなると時間の問題などが出てくると思うのですが、皆さんはどのようにお仕事と学びを両立しておられますか? 秘訣みたいなものはありますか?
松尾さん:私は一番頭が回転する朝の時間を有効活用しています。通勤時間を利用して、思い浮かんだ文章やアイデアをスマホのメモ機能に打ち込んだりしています。レポート課題は、ほとんどその作業で済ませているような気がします。わざわざ時間を作っているというよりは、時間の使い方が変わったという言い方の方が近いかも。今までなら仕事終わりにお酒を飲んでいた時間を少しだけ勉強の時間に充てたりしています。
近藤さん:私も生活のリズムがちょっと変わっただけという感覚です。趣味とかで押さえていた時間を勉強の時間に充てているぐらい。昔は勉強が嫌いだったんですけど、今はやらされているのではなく本当に興味があることを調べているので、全然苦にはなりませんね。以前、担当教授から「わくわくするようなこと、自分の中で本当に何か面白いなって思うようなことを研究しないと続かない」って言われたんですが、そういう観点から考えると、大学院での学びは趣味に近いのかもしれません。
日下さん:私はゴールデンウィークぐらいまではちょっと大変でした。授業に全力で臨み、限られた時間の中で学びを得るのは、気持ち的に楽しいのですが、体力の方が削られてしまって。でもなんとか乗り越えられました。
渡邊さん:仕事と学びの両立という話でいえば、私の場合、仕事と学びを融合させたことがあります。
近藤さん:例えば?
渡邊さん:企業の本業支援につなぐため仕事でおこなったインタビューで聞き取った内容を、学校の課題にどうやって活かしたらいいのか、上司をはじめ店舗中を巻き込んで一緒に考えてもらいました。
日下さん:社会人院生の特権ですよね。でも本当に、まわりの人の応援はありがたいですよね。
松尾さん:社会人になってから自主的に大学院に通って勉強するということ自体、周囲から評価されていると感じます。職場も通学していることを理解していてくれて、調査研究の関係で休暇をいただく際も「いってらっしゃい」って感じで快く了解してくださいます。
近藤さん:私も土日はイベントなどが多いんですが、自治会長さんにこの1年は勉強があるので参加できないかもしれません、とちゃんと説明したら、理解していただけました。社会人をしながら大学院で学びたいけれど、まわりの理解がなかったらどうしようとか悩んでいる人がいれば、そこは大丈夫、と背中を押してあげたいです。
日下さん:社会人院生って素直に尊敬されると思うんですよね。自分のまわりの人が大学院に行っていると聞いたら素直に尊敬しますから。楽しいことをやって、尊敬してもらえて、こんなにいいことはないですよ。
-地域公共政策士の総仕上げのプログラムである「キャップストーン科目」はいかがですか?
日下さん:キャップストーン科目では、今まで学んだ様々な知識や分析力を駆使し、「コンサルタント」という立場から、与えられた課題の解決に取り組むことになります。まだ授業は始まったばかりなのですが、今後はグループでの調査などをおこなっていく予定です。
松尾さん:キャップストーン科目では中小企業家同友会の皆さんとご一緒していますが、大学以外の地域の方と一緒に勉強するのはすごく刺激があります。皆さん、お仕事で忙しいにも関わらず、自分たちの地域を良くしようという高い熱量で取り組んでいらっしゃる。本当に頭が下がる思いがします。
渡邊さん:私は自分の思考力が、キャップストーン科目にまだまだ追いついてないので、大変です。
近藤さん:私もなかなか理解できないんですけど、それを公言しても許される雰囲気なのでありがたいです。
渡邊さん:少しずつ階段を上がれている感覚はあるので、前向きに取り組んでいきます。
近藤さん:行き詰まったときは、皆さんが助けてくれますよ。
-皆さん、学ぶことの楽しさを感じておられるのですね。久しぶりの学生経験と思いますが、学び以外の大学院生ライフはいかがですか?
日下さん:キャンパスに来るということだけで、まず心が躍ります。味云々でなく、学食で食べることだけでおいしく感じる。時々先生にこっぴどくやり込められるんですけれど、この歳になるとそれも新鮮ですし。
渡邊さん:私は卒業してからまだ2年しか経っていない分、最初はキャンパスに来るのが苦しくて。来ると、友達とあそこで喋ったなとか、お昼ご飯食べていたなとか、学生のときの楽しい思い出がよみがえってきて。
松尾さん:私は渡邊さんと逆で、卒業してずいぶん経っていますから、楽しい思い出などはほとんど記憶から消えているんですが(笑)、お仕事でご一緒した先生方と久しぶりにお会いできたのが嬉しかったです。ただ、平日などは若い学生さんばかりなので「圧倒的なアウェー感」を感じます。図書館に行ったら先生と間違えられたりしますし(笑)
近藤さん:松尾さんは先生オーラがあるんですよ(笑)。確かに年齢も違うし、誰ひとり知り合いはいなかったですが、同じことを学んいでるからあっという間に仲良くなれるっていう。第二の青春をやっていますね。
渡邊さん:私も今は、皆さんと気軽にお話できるようなって、見違えるほど楽しくなりました。
日下さん:こちらも最初の頃は若者ばかりの中にこんな年齢の者が、と思って緊張しました。でも同じ学生ですからね。そこはフラットでいいのかな、と。
渡邊さん:院生同士だけでなく、先生とも対等というのが一番の魅力ですよね。多様な方との関わりが毎日の刺激になっています。
松尾さん:学部から進学した若い学生さんもすごく親しく喋ってくれます。以前私が携わっていた仕事について研究している人もいらっしゃるので、実務経験に基づくエピソードなどをできるだけシェアするようにしています。たまに「現実はもっとこうなのになぁ」と感じることもありますが、学生さんは学生さんならではの視点で物事を捉えている。それを間近に感じられるので、新鮮だったり面白かったりします。改めて教えてもらうこともすごく多いですね。
近藤さん:学部からの人は、今までしっかり政策について学んできているのですごく頼りになります。私の隣に座ってきた人には「教えてー」って言って聞きまくっているので大変かもしれないですが(笑)
日下さん:繰り返しますが、私はスタバでフラペチーノ買って、学食でご飯を食べて、それだけでもう本当に楽しいです!
日下 英明 さん
民間企業を経て、京田辺市役所に転職。市民参加に関わる仕事に長年携わる。政策学研究科の修士論文のテーマは「サードプレイス」
近藤 瑛理奈 さん
高校卒業後、就職、結婚。子育て中に感じた社会課題を解決すべく大津市議会に立候補し当選。政策学研究科の修士論文のテーマは「子育て世代の政策」
渡邊 菜摘 さん
龍谷大学政策学部卒業後、京都信用金庫に就職。事務職を経て、現在は営業職を担当。政策学研究科の修士論文のテーマは「街づくりの市民参加」
松尾 裕樹 さん
民間企業から京都市役所に転職し、市民協働や官民連携などの仕事に従事。現在は東山区役所勤務。政策学研究科の修士論文のテーマは「廃校施設の民間活用が地域コミュニティに及ぼす影響と効果について」