TALK SESSION 02

くらしと世界と環境と

谷垣:「自然を守る」って言葉、ちょっと気になるんですよね。

白石:地域から世界まで環境問題が深刻になってきてるから?

谷垣:そうですけど、目線とか、立ち位置とか。「守らなきゃ」という気持ちは真摯なんでしょうけど、人間がその「自然」にどういう作用を及ぼしているか考えて欲しい。

清水:ああ、例えば「獣害」のような?

北川:そうそう。直接にはシカやイノシシの生息数が増えたからだけど、その原因は人間の作用によるものでしょう。

金 :温暖化で、冬場の生存率があがりました。

堀尾:しかも、日本の場合、戦後、スギなど針葉樹を大量に植えて、彼らの餌になる広葉樹を減らしてる。

谷垣:里山の手入れが行き届かなくなって、獣界と人界の区別も消しちゃった。

堀尾:「守ってあげる」じゃなくて自分たちの作用の結果をどうするかなんだよね。

北川:でも、「自分たち」がそれをしたって思えないんじゃない?

白石:自分の存在が、他の存在にどう作用するかという、広いステージを見渡す視角はすごく重要だよ。

清水:ひとりの消費者としてもですね。たとえば、より安い米は効率の高い生産のために田んぼに農薬をどんどん使わせるんですよ。土壌にもよくないし、田んぼの生態系は崩れて、その頂点にいるトキもコウノトリも絶滅させた。

谷垣:牛は穀物でできた餌を食べますが、1kgの牛肉のために10kgの餌が必要なんですよ。それを世界に分配すれば、飢餓はなくなるわけだし。

金 :消費者の行動がそういう世界もつくるし、そうじゃない世界もつくる。

白石:モノを買うって、1票投票するようなものだよね。1票は小さいけど、ないと変わらない。それがあると変わる。

北川:安い米も肉も今すぐ断て、とまで言えないけど、そういうことが暮らしから世界まで地続きにつながってることを見通 す視角が必要だよね。

金 :北国出身のA先生は、「北国では自然は共存するものではない、闘って打ち勝つものだ。だって冬死んじゃうから」って言っ てたよ。

白石:いや、それはちょっとどうかなぁ(笑)。

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